乳児後期健診(9−10ヶ月)は受けられましたか?
乳幼児健診とは?
乳幼児健診の正式名称は「乳幼児健康診査」と言います。
発育や栄養状態の確認、先天的な病気の有無や・早期発見、予防接種の時期の確認など
必要な項目を、月齢に合わせてチェックします。
また日頃から気になっている心配事などをこの機会にご相談くださればと思います。
乳幼児検診(乳児健診)をする時期
乳幼児検診は、お住まいの自治体によって少しづつ違いますが
一般的には定期検診と任意検診に分けられます。
定期健診は助成金で賄われ、無料で全員が受けることができますが
任意検診は基本的には希望者に有料で行います。
自治体によっては無料券が配布されるところもあります。
【定期検診】
・3-4ヶ月健診(集団検診)
・9-10ヶ月検診(乳児後期検診)(個別委託医療機関)
・1歳半検診 (集団検診)
・3歳児検診 (集団検診)
【任意検診】(自治体によって無料券が配られることもあります。)希望があれば有料で行うもの。
・1ヶ月検診(産院での実施がほとんど)
・6−7ヶ月検診
・1歳児検診
★当院でも9-10ヶ月健康診断を受けることができるようになりました。★
さて、当院でも
2022.4月より9−10ヶ月検診(乳児後期検診という言い方をします。)を受けていただけるようになりました。
市民の方への周知名簿には次の更新の時から掲載されるので(2022.8月以降だそうです)
現在は載っておりませんが、ご希望の方はお問い合わせ頂けたらと思います。
9−10ヶ月ごろの赤ちゃんの様子
この時期の赤ちゃんは、新しい世界に一歩踏み出していく時期と言えます。
8ヶ月を過ぎたあたりから、人見知りが始まります。
ちょうどその頃からはいはいが上手になるので、周りの人やモノに触れるようになりますが
新しい関わりに、不安や恐怖を感じたりもします。
そんな時に、ご家族の姿を見ると安心するのもこの時期の特徴です。
家族への「愛着」が形成されていく時期でもありますね。
行動範囲が広がった分、事故には十分気をつけましょう。
何かを間違って口に入れたり、やけど、こけるといった事故の危険度が高まります。
この頃の離乳食って?
・食べる量が安定して、以前より母乳やミルクが減ってきたら朝・昼・夕の3回食に進みましょう。
・ミルクは一日2−4回程度になります。
・この時期は、「歯茎でつぶせるかたさ」です。(バナナくらい)
・この頃になると自分で食べたがる子もいます。
手づかみ食べは、赤ちゃんにとってはとても楽しい経験です。
・食べムラや食べ遊びが始まる子もいます。
ついつい叱りたくなるのですが、、、叱ると食事が嫌いになる子もいるので「もうおしまいね!」と切り上げましょう。
今は、いっぱい簡単で美味しい、便利な離乳食も出ています。
毎回無理して作らなくても、適度に肩の力を抜きながら楽しく離乳食を進めましょう!
ちなみにハチミツは1歳未満の子が食べると乳児ボツリヌス症を発症することがあるので、ハチミツ入りのお菓子も注意しましょう。
9−10ヶ月健診ってどんなことするの?
・問診
特にお母さんの育児の負担についてお伺いします。
お座りやはいはい、つかまり立ちはどのくらうできるか? 物を指で掴めるか
バイバイできるか。「マンマンマン・・・」などの言葉を話すか?
「だめ!!」と言うと手を引っ込めますか?
などお伺いしていきます。
予防接種の進み具合も一緒に相談しましょう。
事前にこの質問票をご自宅で記入してきていただけるとスムーズです。
3ヶ月健診の際にもらっている3枚綴りの用紙です。
そしてこの右側の欄を埋めていくように診察していきます。
・身体測定(身長 体重 頭囲 胸囲)
厚生労働省. 乳幼児身体発育調査報告書.
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001tmct-att/2r9852000001tmea.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/zu7.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/zu8.pdf
・身体診察(内科健診)
一通りの内科的な健診をしていきます。
血色はいいかな?皮膚に問題ないかな?
目は斜視じゃない?後ろから呼んだら振り向いてくれるかな?
胸の音。お腹の診察。
男の子は、精巣がちゃんと降りてきてるか、2つ触れるかチェックします。
また、股関節の開き方に左右差なくしっかり開くかチェックします。
・発達のチェック
★姿勢・運動の確認
色々な姿勢をとってもらって診せていただきます
・手と膝で四つん這いできるかな?
・支えなしでお座りできるかな?
・つかまり立ちできるかな?
・指で小さな積み木がつまめるかな?
指の掴み方:(P35) 改訂版乳幼児健康診査 身体診察マニュアル(国立成育医療研究センター) https://www.ncchd.go.jp/center/activity/kokoro_jigyo/shinsatsu_manual.pdf
★神経学的な発達確認
・パラシュート反射
・ホッピング反射など
・パラシュート反射(転んだ時にちゃんと手が出るかな?というチェックです。)
パラシュート反射:(P36-37) 改訂版乳幼児健康診査 身体診察マニュアル
(国立成育医療研究センター) https://www.ncchd.go.jp/center/activity/kokoro_jigyo/shinsatsu_manual.pdf
・ホッピング反射
ホッピング反射:(P44) 新生児・乳児の診方(日本助産師会) https://www.slideshare.net/shinkikuchi/ss-48465271
これが、めちゃくちゃ可愛いんです。
私の一番好きな診察です。
★精神発達 社会性 行動発達の確認
・視線は合うかな? 目でものを追える?
・バイバイやパチパチは真似できる?
といったことを診ていきます。
予約の仕方
さて、健診を当院で希望される方は、まずお電話をください。
ご相談しながら日程を決めさせていただいております。
当日のもちもの
①母子手帳
②健康保険証
③乳幼児医療受給者証
④乳児後期健康診査受診票(左側の質問票はお家で書いてきてくださるとスムーズです。)
そのほかあったら便利なもの
・水分補給できるもの
・替えのおむつ おしり拭き
当日、万が一体調が悪くなったときは
当日、体調が悪い場合は、必ずご連絡ください。
健診は体調の良い時に日程を変更させていただきます。
また、場合によっては、ご希望であれば診察をさせていただきますのでご相談しましょう。
当日の服装は?
脱がせやすい服でお越しください。
身体測定や診察は、基本的におむつに上半身はだかで行います。
この時期のよくある質問
Q まだはいはいしません。
はいはいはしないで座ったまま、前に全身する赤ちゃんもいます。
1歳半くらいでひとり立ち、ひとり歩きし始めることがほとんどです。
細かな運動や、言葉の発達に問題なければ、全く心配いりません。
Q うんちが硬いのですが・・・・
離乳食に、繊維の多い、さつまいもや豆を取り入れてみましょう。
乳製品も腸内で発酵し排便につながります。
水分をもっと飲ませてもよいでしょう。
外気浴やお散歩もおすすめです。
Q フォローアップミルクは飲ませた方が良いですか?
フォローアップミルクは、離乳期に必要な鉄分、ビタミンCを含みます。
ミルクの子は、飲ませてもいいと思います。
母乳で育った子は、母乳からの鉄の吸収が多いので飲ませなくても大丈夫です!
Qナーシングストライキとは?
今まで飲んでいた母乳や、ミルクを急に拒否し出す現象。
機嫌が悪く、離乳食もあまり食べないことも。
これをナーシングストライキと言います。
だいたい、2−4日で治ります。(長くて1週間)
その場合は無理に飲ませず、眠りかかっている時などを狙って授乳しましょう。
Q 乳首を噛む
痛くて驚かれると思います。
「痛い!」と声を出してしまいそうになりますが
遊んでいると思い、また噛んでしまいます。
お子さんの、口の中に指を入れて離すのがよいとされています。
Q 歯が生えてこない
歯が生え始める時期には、かなりの個人差がありますので、この時期で生えてなくても心配はいりません。
1歳までには生えてくるので気長に待ちましょう。
Q 歯の手入れはいつから?
歯が生え始めたら歯の掃除をしましょう。
ガーゼで拭き取るか、歯ブラシを嫌がらなければ歯ブラシで。
食後から、眠くなり始める時がおすすめです。
Q 歩行器は使った方がいいですか?
プレゼントでもらうことも多い歩行器。
実際には歩行の練習にはならないようです。
また、床の段差で転倒したりしないように、使用しているときは目を離さないように。
ただ、歩行器に乗っている姿はとても可愛いですよね。
Q あまり食事に興味がないようで・・・
大人が美味しそう食べると興味を持ってくれることがあります。
また上記にも出てきましたが「手づかみ食べ」だと面白がって食べてくれることもあります。
Q 卒乳はいつから始めたらいいですか?
卒乳は、栄養面と赤ちゃんの心の面を考慮して進めます。
栄養面では、「形のあるものを噛み潰し、栄養の大部分を母乳やミルク以外から摂れること」が必要です。
心の面は、自然に欲しがらなくなった時が理想的です。
抱っこして授乳してもらうと、赤ちゃんというのは安らぎを得られるので、心の成長につながります。
就労などの、卒乳を早める理由がないときは焦らずに。
以上、9−11ヶ月の乳児後期検診についてご説明しました。
ご不明な点がございましたら
いつでもクリニックまでご連絡くださいね。
あん奈